ウッドデッキネット トップヘ ソフトウッド トップヘ
 ソフトウッドで腐りにくいウッドデッキをつくるには・・・  

 木を外部に使用すると多くの方がこう思われます。

 数年で腐っちゃうのでは?

 毎年塗り替えをしたりするメンテナンスをすればいいのだけれど・・・

 

 この言葉には正しい点もあるのですが、大きな誤解があるように思います。

 

 せっかくのウッドデッキが10年も経たないうち(早い人では3年というのも耳にします)に腐ってしまう方が結構多いのですが、その多くはメンテナンスという言葉に惑わされているような気がするのです。

 

 もちろんメンテナンスを否定するものではありませんが、それ以上に大事なことを最初に考えていないのを結構目にしますので、老婆心ながら、最初にこういった点を考えておけばより長持ちしますよ! というアドバイスをしたいと思います

   

 腐る条件をしっかりと頭に入れておくべし!!

  

 木材腐朽菌により、木材質が分解することで腐るのですが、木材腐朽菌が生育するには次の4点が全て満たされなければいけないのです。

 @酸素があること

 A適温であること(5度〜45度)

 B木材の含水率が高く、湿度が高いこと

 C養分(木材)があること

 

 裏返せばこのうちどれか1点をシャットダウンすれば木材は腐らないのだということなのです。

 

 一つずつ見ていけばこの中の3つはどうしようもないことが分かります

 @真空のウッドデッキを作ればいい訳ですね

       あのーー そんな空間人間が使えないんじゃないでしょうか?

 

 Aとんでもなく寒い地域や、50度を超えるようなサウナだと大丈夫な訳ですね

       氷点下のウッドデッキで、一体何をしようと・・・

       50度以上の高温だと生きていられるのでしょうか?

 

 誰が考えても分かる結論です この2点をクリアーすると人間が生活できませんので、ウッドデッキを作る意味をなしません

 

 C木材の成分を取っ払ったら問題ないじゃありませんか

       この議論を進めると、擬木が正解ということになって身も蓋もありません

 

 で、Bをどうにかするしかないという結論になってしまうのです

       湿気をできる限りコントロールする

       含水率が低い木材を選択することはできますが、雨ざらしの外部だとすぐに濡れてしまいます

       雨に濡れても乾きやすい構造にすることが肝要なようですね

 

 あとで腐ったウッドデッキの事例を見ていただきますが、その大部分は濡れやすく乾きにくい環境にあることが分かります

 メンテナンスをこまめにする前に、乾きやすい構造を考えることからはじめるのが正解だと私は思います 

   

 腐りにくい木材と腐りやすい木材の差って何だろう?   

 木は何百年も生きます。 毎年毎年年輪を重ねて太く長くなるのですが、生きて活動をしているのは、外の方のほんの一部(辺材)。 心に近いところは役目を終えて順々死んでいくのです。

 木が死ねば、木材腐朽菌の格好の餌食。 そうならないように立木の中で、既に死んだ部分(心材)には木材腐朽菌に抵抗するさまざまな成分が沈着をしていくのです。

  

 大木になる木や、高温多湿の環境で育つ木にはそういった成分を強くもつものがあり、環境のいいところで育った材にはそういった成分が少ないものもあります

 当社で紹介している木材だと、ハードウッド全樹種、ソフトウッドのうちレッドウッド・ウエスタンレッドシダー・杉桧が腐りにくい成分(その成分は木材により異なります)を持っています。

 

 ソフトウッドだとレッドウッドがもっとも腐りにくいといわれますが、レッドウッドの育つ北カリフォルニアは温暖で、冬は雨季・夏は霧がでて、年中湿潤な地域です そういった環境で何百年も生き延びるために、自然と耐朽性が備えられているのです

 ですが・・・

 大事な事はレッドウッドが腐りにくいのではなく、レッドウッドの心材(赤み)が腐りにくいのだということをしっかり認識する必要があるのです。

 杉桧も古木で心材に限定して使えば、防腐処理は必要ないのですが、そんな木を使えばコストは跳ね上がってしまいます。  

 若木を使うときや、シラタ混じりの材を使うときは、天然の成分だけに頼ることができませんので、適切な防腐処理をする必要もあるということなのです。

 

 SPF・米つが・パインには木材腐朽菌に強い成分をほとんど持っていないので、無処理では3年も経たないうちに腐り始めます。 

 ならばこれらは木材として劣るのかと言えばさにあらず、住宅用材として素晴らしい性質を持っています

 適材適所を忘れないことがまず第一歩なのです

 

 心持ちと心去り

こちらをクリック>>>

 ソフトウッドでもっとも問題になるのが割れです。

 木は必ず乾燥収縮をしますが、その過程で心に向かって大きく割れます。

 割れていない材を納入して欲しいというご希望をいただきます  

 それだけが目的であれば、できる限り含水率の高い状態で納入すれば割れはまずありません

 が・・・

 割れていなければ良材なのでしょうか?

   

 納品時に割れの無い材でも施工後に必ず心に向かって割れるわけですから、無いものねだりは得策でないことがお分かりいただけるかと思います。

 大木から製材をするときは心去り材が取れますので、割れにこだわるのであれば、心持ちか心去りかにこだわるのが正しい見方なのです。

 

 ちなみにうちで販売をしている材は概ねこんな感じです。

 レッドウッド ・・・ 4x4以外は心持ちと心去りが混じっています。 4x4は心去りが多いです。

 ウエスタンレッドシダー ・・・ 2x4以外は基本的に心去りです。

 SPF、米つが ・・・ 基本的に心去りです。

 杉桧 ・・・ 間伐材ですのでほぼ全てが心持ちです。

 

 つまりソフトウッドの多くは心持ちですので、割れは起こる可能性が高いのだという認識は必要かと思います。

 

 割れると腐ると短絡的に考えるのもちょっと違うわけで、割れた部分に腐りにくい成分があるのかどうかを考えるのが正解だと思います。

 つまり、レッドウッドやウエスタンレッドシダー、杉桧の赤身であれば、割れた部分には木材が持つ腐りにくい成分があるので、割れた場所から腐るというものではないのです。

   

 高温処理をすると腐りにくくなる!!

 家の外壁に焼き杉を昔から使っていますね。

 一見するとススが腐朽菌に強いのでは? と思うかも知れませんが、それもありますが、木材を高温処理すると吸湿性が低下するのです。

 吸湿性が低下をすることで、最初に見た条件のうちBが軽減されるのです。

 

 これを科学的に処理をしたのがサーモウッド。

 高温処理は内部まで均一に変化をしますので、サーモウッドの耐久性はどの木でもほぼ同等の性能が期待できるのです。

    

 防腐剤を加圧注入する

こちらをクリック>>>

 防腐効果の高い薬剤やステインなどを塗るのももちろん効果が高いのですが、木材は必ず大なり小なり割れたりヒビが入ったりします。 またビス穴から内部まで水が浸透する可能性もあります。

 つまり、腐りやすい木材の表面に防腐剤を塗ってもたいした効果は期待できないと言うことなのです。

 高圧による加圧注入をすると、ひび割れした内部まで防腐剤が浸透します

    

 SPF、杉桧間伐材にはタナリスCYという防腐薬剤を加圧注入して出荷しています。

   

 では同じ薬剤ですから同じ耐久性が期待できるのでしょうか?

 SPFは元々防腐剤が浸透しにくい樹種の上に、KD(人工乾燥)をしていますので更に水分が染み込みにくくなっています。 加圧注入してもせいぜい表面の数mm程度しか浸透をしません。

 一方、杉桧は防腐剤が浸透しやすい樹種であり、しかも心材には天然の防腐効果が期待できます。

 耐久年数は雲泥の差があるのはいうまでもありません。

 

 腐りにくい木材VS防腐薬剤

 ではレッドウッッドなど腐りにくい木材とSPFに防腐薬剤を加圧注入したものではどちらが腐りにくいのでしょうか?

 これは単純に考えればお分かりいただけると思います。

 レッドウッドの防腐効果のある成分は何百年もかけて、木の生命力が生み出したもの。

 こちらは天然のものですのでいくら強力なものでも副作用がありません。

 

 が・・・

 残念ながら樹齢数百年の古木を潤沢に使っていたのは過去の話

 現在は若木が多くなっていますので、その成分の効果も昔よりは落ちているのが実情とみるべきかと思います

 

 防腐薬剤はどうでしょうか?

 強力な薬剤は反面強力な毒物でもあります。 昔の防腐剤はそれこそ強力で、当社の板塀(杉桧)にはなんと昭和23年当時のものが未だに現存しています。

 今その薬剤を使うことはできません。 さまざまな規制に適合した人体にも自然にも優しい薬剤を使いますので、防腐効果もかなり落ちていると見るのが自然でしょう。

 

 つまりどちらか片方に偏って最強を論じるよりは双方の相乗効果が見込める組み合わせを考えるのが現実的な選択肢だということです

 ある程度耐朽性の高い木材に適切な防腐処理をするのが最も望ましいというわけです

 

 

 メンテナンスの前に腐りにくい構造を考える

こちらをクリック>>>

 よくメンテナンスをしなかったから腐ったとか、毎年塗り替えたのに腐ってしまった。 という声を耳にします。

 でも冷静に考えてください。 本当に腐りやすい箇所のメンテナンスを定期的にするのは如何に困難なことか?

 いい加減に作って、後でメンテナンスを一生懸命考えるというのでは先も見えています

 まずできることを一生懸命する

 構造面で腐りにくくすることを考える方が如何に大事なことかお分かりでしょうか

 

 ウッドデッキを何回か張り替えているうちに腐る条件というのがかなり見えてきました。

 最初に見た条件をもう一度思い起こしていただきたいのですが、この条件のうちコントロール可能なものを真剣に考えればいいのです。

 @酸素 ・・・ 常識的に考えればこれをシャットダウンするのは不可能なように思いますが、いやいやひとつ方法があるのです。

 ウッドフェンスの柱を地中やブロックに埋めることもあるかと思います。

 土やモルタルでがちがちに固めたらどうでしょうか?   ほら酸素をシャットダウンできるでしょう。

 地中は湿っているから腐りやすいのではなく、土と空気の接点がまずいのです。

 

 A適温 ・・・ これは日本ではどれだけ寒いところでも真夏に5度以下になることはありえないでしょうから考えても無駄でしょうね。 適温でないとウッドデッキで過ごそうなんてのんびりしたことを言っていられないでしょうね。

 

 B含水率・湿度 ・・・ ここが一番のポイントですので後で詳しく見ていくことにしたいと思います。

 

 C養分 ・・・ 木でウッドデッキを作る以上この点はクリアすることは無理ですよね。 ところがメンテナンスにこだわるのはこの点をどうにかしようという意図もあるので無理があるのです。

  

 リビング前に手すり付のウッドデッキを作るとしましょう。

 もっとも腐りやすい部分はどこなのかを真剣に考えれば答えは簡単に見つかります。

 ・まず上からの雨が集中する場所

   屋根の切れ目の部分などは雨が集中します。 床板が腐るケースでもっとも多いのが、こういった部分です。

 

 

 ・大勢の人が歩くところも弱い

   よく歩く場所はビス穴が緩みがちになり、内部に水が浸透しやすくなります。

   アプローチになっているところとか、階段を上がりきったところなどは弱いですね。

 

 ・笠木は腐りやすい

   手すりの笠木はたいていの場合一番にやられます。

   これに関しては対策といっても陳腐ですが、防腐効果の高いステインなどをこまめに塗るしかありません。 

   ある面この部分だけは途中で張り替えるつもりが正解かも知れません。

 

 ・床板と根太との接点

   笠木は目に見えますし、張替えも容易なのでそんなに神経質になることもないのかも知れません。

   真剣に考えるべきなのがこの部分。

   ウッドデッキの場合雨に濡れることを心配していては初めから作ることができませんよね。

   それよりはいかにして濡れた部分を早く乾かすかを考えるのが得策。

   まず東西南北は大きな意味を持っているのは言うまでもありません。

   次に大事なのが風通し。

   上から降る雨以上に気を使いたいのが下からの湿気。

   コンクリートを張ったり、高さを取って風通しをよくしたりすることで、床板と根太の接点に溜まる水が抜けやすくなります。 腐ったウッドデッキの大部分が根太の上部がやられています。

   この部分を張り替えるときは大事ですので、最初の設計が肝心ということです。

 

 管理人の結論

 

 私は単純明快に答えを出すべきだと思っています。

 まず一番大事なのは、メンテナンスにより耐久性をアップするとという考えを排除すること。

 もちろん塗装が剥がれたのを塗り替えて綺麗にするのはいいことだと思いますが、それにより耐久性が飛躍的に向上するということは考えるだけ無駄です。

 次に床下の構造をシンプルにして、風通しをよくすること。

 といってもおそらく限界がありますので、腐りにくい木材を厳選すること。

 

 正直な気持ちですが、10年以下で腐るウッドデッキを作ってはいけないと思っています。

 最低でも15年、できれば20年以上は安心できるウッドデッキにしたいところです。

 ソフトウッドでも笠木は別にして、他の部分は15年から20年は充分持つと信じてウッドデッキやウッドフェンスを作っています。

 それを実証するにはまだ10年以上かかりますけどね。

  

ソフトウッドトップへ

[戻る]