フェンスに関して

2016年2月

  

 ウッドフェンスに関して、いくつか思うことを羅列しておきます。
整理できれば、HPで公開する方向で考えたいと思いますが、いつのことになるやら・・・

失敗談も含めいろいろ書いておきますので、ご参考になれば幸いです。

  
 @柱を埋め込んだフェンス  

 柱を土に埋め込むのは、一番単純な構造かと思います。
単純=施工がしやすいというわけではなくて、結構大変なのもこの方法。
ただ、柱の強度に関しては他のいずれのやり方よりもすぐれているのは間違い有りません。

イペ 高さ 1.4m 柱ピッチ1m 2015年6月完成
横格子のフェンスで、形状は一般的ではありませんが、施工面の工夫等違う形状でも参考になることが多いですのでご紹介をいたします。
柱を立てて、笠木を繋いだ状態です。
高さは1.4m、長さは5mと80cmのL型です。
写真向かって左側は、折れている部分が控え替わりになりますが、右側は単純に柱だけで支えるようになります。

足元の様子です。
深く埋める方が望ましいのは言うまでもないのですが、手堀りは大変です。
私は概ね40cm程度の埋め代を基準に考えております。
ほぼ形になってきました。

通常は横格子を張って終りなのですが、この現場はもう一仕事残っております。
笠木に板金を巻きました。

これは耐朽性に格段の効果があります。

笠木のアップです。

フェンスで一番にやられるのは笠木。
次が、柱の地際。
その次が横板の継ぎ手。
その次が、横板の木口。

フェンスは、笠木と地際の対策がもっとも耐朽性アップには効果があるのです。
   
マサランドゥーバ 高さ 1.8m 柱ピッチ1m
 
   
 A土台敷きをしたフェンス   
コンクリートのよう壁の上に土台敷きをして、柱を立てることがよくあります。
メリットとしては、柱の施工が容易なこと。敷地境界ギリギリに立てられることがあるかと思います。
デメリットとしては、土台にいくら柱を緊結してもぐらつきがあります。 数十センチ程度の低いものでしたら、そのままでも問題ないかと思いますが、1mより高い場合は適切な控えを取ることが肝要になります。
ウエスタンレッドシダー 高さ2m 柱ピッチ 1.2m 2011.03完成、2015.07作り変え
これは大失敗の例です。
施工完了の翌日倒れて、補修。 それから5年後完全に倒壊してしまいました。
いくつか原因が考えられますので、まず羅列をしておきます。
●背が高すぎることで、横風の影響をかなり受ける(2mの高さで、板の隙間は9mm間隔でびっちり張っています)
●控えの強度の問題(適切な本数・ビス止めの方法・風の吹く向き)
●土台と柱の緊結方法緊結方法
2011年3月10日に完成しております。
今思えば、この日(東日本大震災の前日)に完成したことが、その後の運命を暗示していたのかもしれません。

写真は控えをつける直前のもので、この後の良い写真がありませんので、言葉で補足をしておきます。

高さ1.5m程度で斜めに90角を土台と柱に緊結をしております。
写真は東から西に向かって取っており、冬に多い西風に対して、控えの方向が良くないことを知りつつ施工をしておりました。
3月11日午後3時頃。 もしかしたら地震の影響かもしれないのですが、強風が香川県を吹き荒れておりました。
写真の場所とその奥の控えが風に押されて抜けてしまい、下の写真のような状態になりました。

土台が45x90で薄く、ビスの効きがあまり良くなかった(控えから下向きに90mmのコーススレッドを打っていました)のが原因ではないかと考え、M8のコーチボルトに打ち直しました。

それからしばらくは多少東に向かって押されていることが分かっていましたが、倒壊するようなことはなかったのです。
2015年7月。 台風が直撃しました。南から北に抜けて、現場の20km程西を通りましたので、風がいろんな方向にまわったものと推測をされます。

今度は完全に倒壊をしてしまいました。
裏(北側)から見た様子です。
庭を囲むように北と西がフェンスで、東が建物。
南からの強風に押されてこのような状態になってしまいました。

北側を中から見たところです。

土台と柱が完全に外れてしまいました。
一部笠木も壊れております。

いずれもコーススレッドが引っかかれたように抜けておりましたので、ウエスタンレッドシダーの柔らかさがあだになったような感じがいたします。
(同日、台風にもっと近い場所の2mのフェンスも被害をうけましたが、そちらはビスがネジ切れており、木材は傷ついていませんでした。 ちなみにそちらはヒノキでした)
右が北側で、左が西側です。
西側は、北側と違って、控えも柱も完全に抜けておらず、ぐらぐらでしたらなんとかたっていました。
南風をまともに受けた北側にものすごい力が掛かったことが分かります。
こういう施工を結構やっているのですが、土台側から柱に向かってビスを打っております。
ビスが折れておりませんので、木の方が負けたのが写真で分かります。

直した時に私が日本に居ませんでしたので、完成写真がないのです。
会社の近くでしょっちゅうココには行っておりますので、そのうち後日談をかければと思っております。
ちなみに、全面やり替えをしております。
 
 
   
 B金具を使ったフェンス  
柱を固定するための金具が各社から出ております。
私が一番良く使うのは、タカショー社のもので、土に埋めるH型アンカー。
フェンスで最も気を使う地際の対策に有効です。

 
マサランドゥーバ 高さ1m 柱ピッチ1.8m 2015.01完成
まず完成写真を見てください。
コンクリートのよう壁の上に90角の柱を立てて、横板を2枚打っただけのシンプルなフェンス。

こういったご依頼も結構あります。
もう少しアップにして、後ろから取ってみました。

柱は一体どうやって立ててるんでしょうね???
この仕事は、コンクリートにコア抜きをするところから始まります。
よう壁をするときに柱の位置や穴の大きさが決まっていれば、生コンを打つ時に穴を空けてくれれば、この手間は不要になります。

ブロックを2段ほどついて、その上に木のフェンスと言うこともよくあります。
その時は、柱の位置だけモルタルを詰めずにブロックをつくと、コア抜きが不要になりますので、有りがたいです。
これが柱が立っている正体です。
コアした部分にモルタルを詰めて、金具を埋め込みます。
柱の中心をスリット上に切って、この金具に差し込むのです。
そうすることで、完成写真のように金具が見えない柱が完成いたします。



この方法は万能ではありません。
埋まっている部分が僅か15〜20cmほどしかありませんので、横風に対して強くありません。
高さが高かったり、横板を詰めて張ったりすると、よう壁を壊す可能性があります。
アルミフェンスの施工を慣れている方が、この方式を選択するケースが多く、アルミフェンスだとこの方式が一般的かと思います。
木材の場合は、直径が太いのと、地際が腐りますので、コンクリートに柱を直接埋めるのは適しておりません。
こんなやり方もあると言う程度に見て頂いたら有りがたいです。


 Cその他  
@ABは過去何度か施工したことがあるもので、私が提案をするときに今後も用いる施工方法です。
こちらでご紹介するのは、お施主様や元請け会社様からの指示で、あまり望ましい方法ではないと思いつつやってしまった例です。
失敗例と言うよりも、ココをもう少し工夫しておけばよかった。
という反省を込めて書いておきます。

セランガンバツ 高さ80cm 柱ピッチ1.2m
先に完成写真を見て頂きます。

柱は、45x70
笠木は30x120
横板は11x120

ブロックの上に柱を立てて、横板を粗く4枚張っております。

途中出入りができるように扉も作りました。

完成写真を見ても施工時の工夫がもう一つ分かりませんので、下でそのあたりを見てください。
柱は、ブロックに突っ込んでいますので、完成写真を見ても、何処にも金具が見当たりません。

45x60ですとスポーンと入りますが、45x70だと少し切り欠かないと穴の方が小さくて入りません。

メリットは見た目がすっっきりすることと、金具の費用分安価にできること。

反面デメリットが大きいため、イレギュラー的な扱いにしているのです。

金具に比べ、木材の断面が大きいのが最大の欠点です。
上からのぞきこめませんので、モルタルが十分詰められているかどうかを確認することができませんので、施工ミスに気付かないのです。

もう一つは、まっすぐ柱を立てることが困難です。

下の写真のように笠木だけが頼りなのですが、笠木に横反りがあると、柱もそれなりにしか立たないのです。

また、金具のところで書いたとおり、この施工方法は耐朽性にも疑問符があります。
まだ施工して10年経過しておりませんので、実証できていないのが辛いところです。
 



   

   

  Q&Aトップヘ                                   未公開写真トップへ

背景がブルーのページはサイトからはリンクをしていない、お問い合わせ頂いた方向けのページです