木材の配送について  

2014年5月7日現在

 はじめに

 様々な商品において通販で購入をされる方が増えてきました。

 それに呼応して、運送会社も様々なサービスを提供していて、購入者にはとても便利で安心なシステムが出来上がっています。

 

 と・こ・ろ・が・・・

 

 このシステムの裏で、イレギュラーな荷物は排除をされているのをご存じでしょうか?

 私が主に扱っている品目は、運送会社からすると完全にイレギュラーなアイテム。

 そのため、木材の通販において最大の課題は各社共通して配送なのです。

 

 クロネコヤマトをはじめとした宅配大手は、ほぼ全国に翌日配送をできるシステムを作り上げています。

 そのために最も重要なことは、一定サイズのコンテナ配送なのです。

 コンテナの大きさは、運送会社に関係なく2m四方。

 この箱の大きさを1サイズにすることで、幹線ルートのトラックの積載量を簡単にコントロールすることができるようになっているのです。

 

 つまり、当社の販売アイテムが、1.8m以下に限定をできるのであれば、何ら配送で頭を悩ますことはありません。

 皆様がご存じの宅配システムに載せれば、皆様がご希望する通りの配送が可能です。

  

 と・こ・ろ・が・・・

 

 木材のご注文で最も多いのは、3mと4m

 つまりこの需要にお応えするために多大な苦労をしなければいけないというわけなのです。

    

 通常はこういう配送方法が一般的なのです

通販では無い流通ルート

  木材は、通販が一般的なのではなく、材木屋さんを通したルートが普通。

  しかも全国から仕入れるのが普通ではなく、地元で仕入れるのが普通。

 ですから、こういう形の流通形態だと何の無理をせずとも販売は可能です。

 

 当社がある香川県坂出市に近い材木屋さんで木材を購入したとすれば、次のようなルートで材が配送されます。

  

 @全国(全世界)からDMB四国工場が仕入

    15tトレーラーで大阪(輸入した材は神戸港・大阪港に荷揚げ)や名古屋よりDMB四国工場に配送をいたします。

    大阪からは週に3〜10便、名古屋からは週1便程度がトレーラー満載になる都度配送をされてきます。

 

 A四国内の市場に販売

    バンドル単位で販売・4t車で配送をいたします。

 

 B市場から材木屋さんが仕入

    1本単位で販売・都度軽トラなどで配送。

 

 この流れだと、配送面はそんなに問題にならないのです。

 お客様に見える流れはBだけです。

 

 通販の場合は、ABを飛ばして、@がいきなり個別配送になります。

 そんな配送システムは木材業界には存在をしないわけです。

 これまでの常識にとらわれている限り、出荷地と消費地の距離の大きな壁を取り払うことができないのです。

 

 当社が四国香川にあっても@のシステムがあるのがとても大きな強みです。

 15tのトレーラーに1t程度のデッキ材を積んでも上の方にチョンと乗っているだけです。

 これを4t車で運ばなければいけないと、大阪や名古屋から四国への距離が大きなネックになるというのは簡単にご理解いただけるかと思います。

    

 佐川急便だけは木材を運んでくれるのですが・・・

 上で書いた通り、既存の配送方法だと、近場か短尺材しか全国に販売ができないということになってしまいます。

 大手宅配業者の中で唯一佐川急便だけは、木材の配送が可能であり、2003年に通販を始めるにあたって、佐川急便による宅配を始めました。

 と・こ・ろ・が 

 この配送方法にはいくつかの問題点がありました。

   

 ・長さの問題

  DMB四国工場は四国香川県にある関係で、比較的大きなトラックが集配に来ています。

  12Fまでは全てのトラックに積み込み可能であり、14Fも事前に案内をしておけば、集荷に来てくれます。

  ところが、街が大きくなるほど、トラックは逆に小さなものが多くなります

  大都市では、14Fを積み込めるトラックはそんなに多く走っておらず、長い木材を全国に均一な条件で運ぶということはかなり困難なのです。

 

 ・量の問題

  ウッドデッキのご依頼で最も多いのは0.2立米〜0.5立米。

  重量にして、ハードウッドで200〜500kg、ソフトウッドだと100kg〜300kg。

  佐川急便は基本的にドライバーが持てる範囲(30kg)が1梱包。

  300kgだと10口になるのですが、これが数件重なると、集荷の依頼すら困難。

  暇な時期は出荷日をずらして対応するのですが、GW前など荷物が集中する時に急ぎ間に合わないというジレンマが起こるのです。

 

 ・契約はドライバー単位

  様々な樹種を全国から仕入れようと思うと、香川県からだけ出荷をしていたのでは追いつきません。

  ハードウッドの仕入れは大部分が大阪。

  大阪の佐川急便に香川県と同様の条件で配送をしてもらうように交渉をしたのですが、色よい返事はなく・・・

  当初は大阪にある材を香川県に移して、そこから大阪市のお客様に配送というようなこともよくしていたのです。

 

 ★★★2012年夏 佐川ショックが木材の販売をしている会社を直撃しました★★★

 HPでご案内をしている通り、佐川急便が木材の配送を引き受けてくれたのは、過去の話になりつつ有ります。

 既に香川県の場合は、数年前より高額請求が相次ぎ、佐川急便出荷は2m以下の材に限定をしておりました。

 今回は、ドライバー毎の話ではなくて、佐川急便の各支店より通達が出ており、その文書には全国で長物の配送自体を請けない旨のことが書かれております。

 まだ全国一律でダメになったとは聞いておらず、もしかしたら一部地域ではいまでも3mより長い物の出荷を請けているかも知れませんが、今回の事情は原因がはっきりとしておりますので、いずれ現在よりも更に厳しい状況になることは見えております。

 

 現在のところ支店単位で通達が出ていることを確認しているのは、東京都と愛知県。

 東京の場合は、2mより長い物はNG。

 愛知は、2.7mより長い物はNG。

 香川県でも以前より高額請求が相次いでいたのは、3mより長い材ですので、全国どこから出荷するにしても3mより長い材は佐川急便は使えないと思って間違いないかと思います。

 

 現実には、2m程度でも高額請求が見受けられますので、1m程度で明らかに段ボールの荷物程度の荷姿でないと、いくら請求されるかが怖くて使えないのが実態です。

 

 こうなった原因ははっきりとしていて、アマゾン・楽天等の通販サービスの成長と、細やかな配送サービスの拡充にあります。

 今後そちらの分野は益々発達をすると思われますので、木材等荷姿がイレギュラーで効率よく運ばない荷物は益々排除をされる傾向になると思われることは容易に判断がつく訳です。

 

 

 
 路線便や混載がネックを解決してくれました

木材の配送はこちらが主流です

 運送を色々模索をしているうちに、路線便という配送システムが、100kgから1t程度の木材の配送には最もスムーズなことを知ります。

 大阪でいろいろ交渉をしましたが、佐川同様うまく話がまとまる会社・営業所とそうでない会社・営業所があります。

 しかも路線便は全国組織ではないので、地域限定になってしまい、関西だとOKだけど、九州はダメとかいう状況があります。

 

 そんな中、岡山県貨物と契約がまとまり、全国複数の地域より出荷・全国への配送がとてもスムーズになっております。

 

 ただ、大手宅配のような細やかな配送は望まず、HPで公開している通り次のような条件付きになります。

 ・出荷して納期がないとき(翌日着指定のようなもの)はNG

 ・着日指定はできるが、時間の指定はあらかじめすることができない。

 ・日曜・祝日の配送はできない。

 ・基本は車上渡し。

 ・トラックは基本的に4tウイング車(道路が5mより狭いと厳しい)

  

 これは、大手宅配に比べると、お客様から見るとサービスが足りないとお感じになるかもしれません。

 ただ、この数年いろいろ模索をした中で、全国に安価にしかも同じ条件で配送をできる最善の方法であることを確信しています。

 全国で木材を通販している方といろいろ話をしますが、皆さん配送システムには苦慮をされています。

 苦慮をしている最大の原因は、お客様に他社よりもいいサービスをしなければいけないというプレッシャーであることを感じます。

 

 2011年秋には、谷口興業と提携をして、新混載便システムを構築しました。

 大阪→関東 翌日配送

 6mまで通常単価で配送

 これまでの苦労が嘘のような話で、数か月トライアルして、特段問題がありませんでしたので、私から大阪や東京の同業者に話をして、2012年からはハードウッドを扱っている大手の会社にはほとんどこのシステムが利用できるように致しました。

   

 私は他社よりもお客様に有利な仕組みを作ろうとは思っていません。

 それよりはできる限り多くのお客様に、できる限り安価でスムーズな配送ができることを考えて

 お客様にほんの少しお手伝いをしていただければ、とても安価に配送をすることができます。

 このシステムを維持するには、私が一方的にサービスをするというのではなく、お互いに協力をしてスムーズに荷受けができるようにお願いをしなければいけません。

 

 このあたりをご理解のうえご注文頂きますと、幸いです。

 

路線便に関してトラブルの事例をまとめましたのでご参照ください>>>

    
 最後に

 スムーズにいかないことをいかにもスムーズに言っているように書くと嘘になります。

 コストが掛かっていることを隠すと、これも嘘になります。

 私も以前はそうだったのですが、他社に比べて・・・ ということを考えると何にも前に進みません。

 私が構築した配送システムは、全国で誰一人同じシステムを構築できていないものです。

 嘘をつくと、それをごまかすためにまた違う嘘をつかなければいけなくなってしまいます。

 

 何度も書かないといけないのが心苦しいですが、木材を全国に個別配送するシステムはどこにもありません。

 路線便や新混載便による配送は、以前よりはかなりスムーズになりましたが、まだまだ改善の余地があることは感じています。

 実際に多くのお客様に配送をして、どのような点がうまくいってどのような点がうまくいかないのか。

 まだまだ模索は続きます。

 

     

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