ハードウッドのビス止めについて

2009年2月修正(2015年4月・8月一部加筆)

 私の工具箱からはこんな残骸がたくさん出てきます。

 ハードウッドのデッキを施工するとビットは3〜5本、ビスは10数本はパアになります。

 と書くと、下手くそじゃないか!! と思われるかも知れませんが、 これでも随分スムーズに施工をしている方だと自負をしています。

 だって初めて施工をした時には満足にビスを打つことができなかったのですから・・・

 

 2004年夏に初めてハードウッドの施工をした時に、いかにスムーズにビス止めができるかをいろいろ聞いて回りました。

 その時に感じたことは「ビスは太く短く 下穴は手を抜くな

 これは4年経った今でもその通りだと思っています

 使っているビスも当時のまま4.1mm径のステンレス木ネジで長さは床板プラス20mmが基本。

 

 今でも気を抜くと舐めたり、ネジ切ったりしますが、悪戦苦闘をしながら何とか頑張っています。

 初めてハードウッドの施工をする方でもここで書いていることを実践すれば何なくビス留めができるというコツを書いておきますので、よーく読んで実践をしてみてく出さい


なおウリンやイペ等特別堅くて重い木材を想定して書いております。

他のハードウッドに関しては最後に補足をしておきます。

  
 準備編  

 ハードウッド20x105の床板をハードウッドの根太に打つ場合に必要なものです。 

 写真のものを一通り用意してください。

 

 ● ビス 

  当サイトで紹介している4.1x38のステンレス木ねじ

  少量4.1x50も用意しておくと失敗をした時にあわてません

  

 ● インパクトドライバーまたはドリルドライバー

  よくトルクが最低どの程度必要かと聞かれることがありますが、ハイパワーの道具は初心者には扱いにくいです。

  工具にパワーがあると今度は違う場所に負荷がかかり、必ずマイナスが生じます。

  一番上に折れたビットの写真を載せましたが、これはハイパワーのインパクトで休みなくビスを打つことが原因です。

  工具のパワーを上げるよりも後で書くスムーズにビス止めをするコツを知る方がよっぽど失敗がありません。

 私はハイパワーのコード付きで下穴あけを、繊細な充電式でビス止めをしていますが、もちろん1台で十分です。

 

 ● 皿錐(4.0x10.5)・下穴錐(4mmまたは5mm)

   皿錐は必需品、下穴錐は3.8mm程度のドリルで代用可です。

  

 ● スペーサー(3〜4mm程度のもの)

   写真では管理人愛用のL型金物で厚みが3.2mmです。 

  DIYだとベニア板のように厚みが均一で安価に大量に入手できるものがいいと思います。

 

 ● バール・くさび

   ここで説明するより実際に使っているところでご案内した方が分かりやすいかと思います。

  下記をご参照ください。

  

   
 床板の張り方  
  

 @最初の一枚をまずビス止めします

 写真の場合は一番右が最初の一枚です。

 これは、できる限り反りの小さなものを選別した方がスムーズに張ることができます

 

 Aスペーサーを挟み、材を並べます

 写真では3mmの木材を挟んでいます

 このときは材が反っていてもねじれていても関係なく並べていきます

 

 Bくさびやバールで引きつけます

 ハードウッドの場合、かなり硬く矯正をするのが困難ですが、くさびを使えば何なく矯正できます。

 一番上の写真が一番分かりやすいですが、一番外の材に沿って端材をビス止めし、くさびを打ちます。

 上の写真は上から打っていますが、中の写真のように横から打つ方が抜けにくいです。

 

 なお、写真下のようにバールで引きつけることも可能ですが、くさびほど強力ではありませんので、反りが大きい時は矯正しきれないことがあります。

 

 

 床板の矯正についてはこちらで補足をしています>>>

 

 

 C材の割りを考えるのなら・・・

 上のやり方だと最後の1枚はほぼ確実に割の悪い材になってしまいます

 最後は挽き割ってそろえるのも一案なのですが、図面の寸法通りに割り付けをしたいというのも自然な話です。

 

 写真は、20x105のクマル材を16枚並べています。

 材の幅は、105x16=1680

 隙間はスペーサーが3.2mmですので、3.2x15=48

 出幅の合計は1728mm

 

 これに合わせて根太組みの出幅を決めます。

 

 床板は外から張って行きます。

 まず、上の写真のように外から11枚目を計算の寸法の位置に合わせてビス留めをします。

 間の材を並べるところまでは割り付けを考えていないときと同じです。

 違うのは、スペーサーにくさびを併用している点。

 材には必ず痩せがありますので、計算の寸法よりはほぼ間違いなく狭くなっています。

 そこで、くさびを使って隙間が均等になるように調整をしてからビス止めをするのです。

 

 同じ要領で住宅側も施工をしたら、この通り材の割り付けがバッチGOOD。

 

 成功への一番の秘訣は、計算通り床板を張ることにはこだわらないことです。

 根太組みを失敗して、計算より数ミリ大きくなることがあるかもしれませんし、材の痩せが予想以上に大きいかも知れません。 痩せは均一ではありませんので、1本1本バラバラの可能性も考えられます。

 そういったことを予測しておけば現場で何にもあわてることがないという訳です。

0009.JPG (152589 バイト)

  床板を並べたらドンドンビス止めをしていきましょう!!

  

 C 下穴を空ける位置に鉛筆でしるしをつけます。

 チョークの墨つぼがあればもっと簡単にしるしをつけることができます。

 一度に並べることで、ビス位置が通リやすいというわけなのです。  

 D皿錐で一度に下穴と座掘りをします

 皿錐は下穴の深さを調整できるようになっています。

 床板プラス5mm程度を目安に調整してください。

       (床板が20mmの場合は、25mm程度)

   

 このままビスを打っても構いませんが下の写真のように、下穴錐(先が細くなっているドリル)で更にビスとほぼ同等の深さの下穴をあけてからビスを打つとよりスムーズに作業ができます。 

 

 床板の時は下穴錐までは要らないように思いますが、束と根太の接合など長いビスを打つときや、斜めにビスを打つときにはこの一手間を掛けるかどうかが成功への分かれ道と言って間違いないです。

 
(下穴錐の変わりに3.6mm程度のドリルでも構いません)

Eインパクトドライバー(ドリルドライバー)でビス止め

  真上から力を掛けて慎重に。

 

 最後の一締めでビスがねじ切れる可能性があります。 ちょっと入りにくいと思ったときは無理をして押し込むよりは一度抜いて、下穴錐で下穴を空けなおす方が確実。

 

 それでも失敗したときは、メカアリゲーターの出番です。

ビス止めをマスターすればワンランク美しい仕上がりになります。

 

 なお樹種によりかなり硬さが違います。

 ビリアン・イペの場合はここで書いたような手順でいいと思います

 マサランドゥーバ・クマルの場合、下穴錐併用の方が無難かと。

 セランガンバツ・グラピアだともう少しアバウトに作業をしても大丈夫ですし、イタウバだと皿錐を使わなくても施工可能です。

 

     
    
 横打ちはしないほうがベター  

 

  

 ツーバイ材の場合は根太に2x6を使うサンドイッチ工法が一般的ですが、ハードウッドで何が大変かって、長いビスを打つほど大変なことはありません。

 ですからあくまでも基本は束に根太を乗せること。

 でもどうしても横から材を抱きつかせなければいけないこともあります。

 そんなときにどうしたらいいのでしょうか?

  

 この写真は初期の施工例で、90角の束に50x70の根太を横打ちしました。

 使用したビスは4.8x90のステンレスビス。

 根太には4.8mmの下穴を、束には4mmの下穴をあけましたが、2本に1本はねじ切れてしまいました。

 ねじ切れていないものもかなり疲弊をしていて抜くこともできません。 こんな状態ではビスの強度も心配ですのでとてもお奨めできるやり方ではありません。

 

 無難な選択肢としてボルト止め。

 これなら強度も充分ですし、失敗する可能性が非常に低いです。

 

 一番確実なのは、下の写真のように、もう1本束を足すこと。

 切り欠けば見た目に綺麗ですが、かなり腕を要求されます。

 重力に逆らわない施工がベストだと言うことですね。

 

 横打ちについてちょっと補足をします。 こちらをご覧下さい>>>

 2015年3月の追記
最近は、良いビスが出回っています。 ハードウッドでもガンガン横うちできる優れモノですので、そういったビスを使うと、より施工性はよくなります。

    
   

 ビス留めをマスターさえすればシンプルな形状のウッドデッキはまず大丈夫。

 頭で考えるより実践をしてみることです。 サンプル材をご請求いただきいろいろ試してみてください。


柔らかめのハードウッドに関して

イペ・ビリアン(ウリン)・マサランドゥーバ・クマルに関しては上で書いた内容でビス止めを頑張ってください。

セランガンバツ・タタジュバに関してもほぼ同内容で良いかと思いますが、多少木が柔らかい分ビスをワンサイズ長いものにされることをお勧めいたします。

イタウバに関しては、ハードウッド的な施工よりも堅めのソフトウッドという感覚で施工された方がいいかと思います。

イタウバだと、少々長いビスでもストレスなく打てますので、「ビスは太く短く」ではなく、「少々長め」という選択をされた方が良いかと思います。

  

      
   
ウッドデッキのある風景管理人の施工日誌

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