杉桧ウッドデッキ材について

2014年12月4日現在

  
 はじめに

2000年から2010年にかけて

 2000年(平成12年)にグリーン購入法が制定されました。 エコ・京都議定書によるCO2排出制限。

 ロシア・中国の木材輸出関税の大幅な引き上げ。

 

 様々な要因から国産材に風が吹きました。

 

 と・こ・ろ・が

 

 その風のおかげを被るはずだった杉桧のデッキ材は、全くの販売不振。

 非常に残念なことですが、しばらくは新規の製造を見合さざるを得なくなってしまったのです。

 

 原因は地産地消を行政の思惑だけで進めたことにあります。

 

 生鮮食料品だと、誰もがこういう風に思うと思います。

 「産地で買うと、新鮮で安くておいしいものが手に入る」

 行政が旗振りをしなくても消費者がこういう風に思っているわけですから、自然に地産地消の流れになって行くのです。

 

 木材の場合は、農産物ほど狭い範囲で地域に密接をしているわけではありません。

 私がいるのは香川県坂出市。

 ここはかつては塩田の街で、現在は工業の街です。

 ここの市役所が、「市の公共事業には市で取れた木以外使ってはならない」 という規定を決めたらどういうことになるでしょうか?

 こんな単純なことが行政には理解ができません。

 国の場合は、東京でとても偉いお役人様が机上の理論だけで法律を作ります。

 県だと県庁で同じように条例が定められます。

 

 当サイトで2006年8月より4年間ほど紹介をしていたのは、香川県の公共事業を当て込んで、香川県産の杉桧で作ったウッドデッキ材です。

 条例通りに現場が動けば、大量にしかも定期的に需要があるはずだったのです。

 条例制定直後は律義な注文がありましたが、それも数か月しか続きませんでした。

 

 この条例のおかげで、香川県産材の利用が振興された。

 

 訳は無くて・・・

 

 

 県の公共事業から天然木材の指定がどんどん削られて工業製品に置き換わって行きました

 

 木材を使おうと思うと、「県産材」の指定を入れなければダメですが、工業製品だとそんな指定を入れる必要がありません。 リサイクルウッドを使えば、エコに貢献するという大義名分は成り立ちますので、県産材が売れるはずだった物件はどんどん人工木材に置き換わっていきました。

 

 とても残念なことですが、こういったことが全国各地でこの数年に起こっています。

 

 もう少し広域に範囲を設定すればよかっただけのことなのです。

 香川県だと隣の徳島・高知・愛媛県は林産県ですから、品質が良く安価な木材が安定的に供給されます。

 自分の県にこだわったため、高価であまり良質でない木材を無理やり作って無理やり消費をしなければいけない。

 これが如何にお題目の地産地消と矛盾をしているかを考えればいいことだけなのです。

 

 愚痴になってしまいましたが、また潮目が変わる時が来ると思います。

 現在は円高・世界的な不況のおかげで、外材が安価にしかも安定的に供給されていますが、それはとても細い綱の上を渡っているにすぎず、今日当たり前のことが明日も当たり前だと思っていたら、必ず痛い目にあうことは必至です。

 近い将来、国産のウッドデッキ材に日の目が当たる時が必ずやって来ると信じています。

 

 

 そのための小さな布石を2011年秋に打ちました。

 小さな石が大きな岩や山になるかどうかは、今後の楽しみなのです。

 

     
    
 乾燥が最も重要な工程であることをお忘れなく  

 どんな用途の材でも木材は切った直後の材は含水率が高くて使い物になりません。

 

 良材を作ろうと思うと次のような工程が必要になります。

 

 原木のまま数か月間、山で乾燥をさせます。

 製材所にて、仕上げサイズより少し大きめに挽きます。(仕上げサイズプラス5〜10mm)

 その材を桟積みして、数か月乾燥をさせます。

 モルダーに通して、仕上げサイズに加工をします。

 一応これで完成ですが、 内装材で特に精度を要する時は、この工程を3〜4回繰り返します。

 ですから、良材ほど手間暇をとても掛けているのです

 

 杉桧の間伐材は大量に市場に出回っていますが、その多くは未乾燥材です

 未乾燥材をすぐに製材をして、防腐加工をすることも可能ですが、手間暇をかけたものに比べると次の2点で劣ります

 @木材は乾燥をする過程で痩せたり暴れたりする

 A含水率の高い木材に防腐材を加圧注入しても内部まで浸透しない

    

 杉桧のウッドデッキ材は大量に出回っていますが、その多くは未乾燥材で、しかも薬剤注入をしていません。

 数年で腐ったという話を耳にするたびに、とても辛い思いをするのですが、最初に手間暇かけていないものは残念ながら長持ちしないのです。

 

 防腐メーカーとしてもっと辛いのは、防腐加工をしてもしなくても耐朽性にそんなに差がないといわれること。

 その原因は十分な乾燥をしていないことにあります

 Aの通り、十分乾燥をしていない木材に高圧をかけても内部まで浸透をしません。 5年程度で腐ったというクレームが結構あるのですが、その大部分がこういった促成の木材なのです。

 

 2006年には、乾燥期間のサイクルを考えて年4回体制で製造をしました。

 ラフ材を仕入れてから、仕上げるまでに7カ月程度掛かりますので、半年先の販売計画を立て、年間の製造スケジュールを組み立てました。

 残念ながら、販売計画に大きな狂いを生じたために、このサイクルは1年しないうちに頓挫をしてしまいます。

 こういった計画を遂行するためには、最低でも月間で20立方メートル(2x4-4m換算で、1500本程度)を販売をしなくてはコストが合いません。

 とても一企業の努力でカバーできる話では無かったのです。

 

 この製造方法は、僅か半年で破たんを来たしました。

 

 それから5年。 今度は持続的に販売可能な方法を見付けたのです。

   

     
 2011年秋より始めたこと  

 ウッドデッキの業界なんてとってもちっぽけなものです。

 「ウッドデッキのために良材を作る!!」 と意気込んでみても、工場の生産と販売には大きなギャップがあり、5年前に大失敗をしました。

 発想を逆にすれば世の中丸く収まります。

 

 杉・桧を確実に使うのは、住宅用途。

 住宅用材としてのサイズの材だと、ウッドデッキとして販売できなくても確実に売れます。

 

 2011年秋より、岡山県の製材所の材を当社の土場で天然乾燥をすつシステムを構築しました。

 当社は、かつて塩田の跡地。

 雨が少なく、海からの風が木材の乾燥にもとても適しています。

 

 その証拠に、5年前 当社の土場で3か月乾燥をさせた材の含水率は15%を軽く切っていました。

 

 2〜3か月サイクルで、製材所より材を持ちかえり、天然乾燥をさせます。

 

 その間にウッドデッキのご要望があれば、良い材を選別してプレナー・防腐加工。

 余った材は製材所に帰して、こちらは住宅用材として販売をされます。

 

 これだと、ウッドデッキにも住宅にも転用ができますので、在庫切れの心配がありません。

 

 常に良い材を出せますので、私にとってこんな有りがたい話は有りません。

 

 まだ、初めて2サイクル目。

 販売状況を勘案して、今後のサイズバリエーションを見直す可能性は有りますが、良い感じで材の回転ができております。

  

  
 2012年の話  

 順調にいっていないことを隠すと嘘になってしまいますので、良くない話ばかり書いてしまいました。

 でも、日本人には日本の木が合っています。

 毎日木を触ると目をつぶっていてもどういった国から来た木かすぐに分かります。

 杉や桧を切るととても懐かしいいい感じの匂いがします。 東南アジアには東南アジアの、南米は南米の、そして北米はアメリカンの匂い。 これは木も人も同じ感じで、やはり落ち着くのは日本人であり、日本の木材。

  

 5年前は失敗しましたが、今していることは、近い将来必ず花を開くものと思っています。

 

 まだウエスタンレッドシダー等の外材の方が主流ですが、外国のものはいつ潮目が変わるか分かりません。

 杉桧のウッドデッキは古くてとても新しい材だと思っています なんなりとご要望をお聞かせ下さいましたら、幸いです。

 ってのんきなことを書いていたな・・・

  

   
 2013年初夏に失敗を痛感する  

 私が居るところは香川県坂出市。

 目の前に瀬戸大橋が大きく見える工業地帯です。

 

 桧の製材所は、瀬戸大橋を渡って、しばらく北上した所にある、岡山県新見市。

 

 距離にしたら僅か120km。

 でもその間に通常の流通体系が無い地域間。

 

 その二人をお見合いさせてもいつか破たんすることが見えていたことに2年前は気付かなかった。

 

 と言うよりも、目をつぶっていた。

 

 

 やはり無理は続かず、うまく3サイクル目を回そうと思っていた矢先。 破たんをきたしてしまいました。

 

 とても残念なことですが、現在の提携は在庫限りで解消をする方向になると思います。

 

 今後、少しだけサイズを変更すれば杉桧を販売することはできますが、上で書いた一番重要な点に目をつぶって販売をしなくてはならなくなる可能性がとても高く、次の2点に関して責任を負うことができなくなります。

 

 ●少しサイズダウン。

 ご存知かと思いますが、市場に流通している大半の桧材にはプレナーが掛かっておりません。

 したがって、90角でプレナー仕上げをする材を確保することは困難で、85角に仕上げざるを得なくなります。

 サイズによりこのように表記よりも数ミリ小さくなる恐れがあります。

 (都度ご案内をします)

 

 ●耐朽性

 とても残念なことですが、即製した防腐木材には本来の耐朽性は期待ができません。

 良いものに当たれば、10年以上の耐朽性が見込めますが、そうでないときは5年持てばいい方。

 つまり、世の中の評判通り、「杉桧のデッキ材なんて耐朽性は見込めないんだよ。」という言葉に地団駄を踏みながら同調せざるを得ないのです。

 (材の調達状況により都度ご案内をします)

 

 ●反り・ねじれ・割れ

 これはご要望のサイズにより話が変わります。

 90角・105角に関しては、大量に市場に出回っておりますので、この点に関しては、現状よりも良くなります。

 30x90の場合は、90角より三つ割り対応をするようになります。(40x90だと二つ割り)

 このように一度仕上がった材を小割りすると、必ず大きな反り・ねじれが発生しますし、桧材は100%心持ちですので、三つ割りをした真ん中の材は木目にそった割れが生じやすくなります。

 これが市場に出回っている桧材の常識で、これに関しては確実に現状よりも悪くなることが容易に想像をされます。

 (どのように作るかは都度ご案内をします)

 

 

 と言う訳で、この数年努力をしてきたことを放棄せざるを得なく、お客様のご希望のサイズ・数量を確保することはできますが、うちだけの自信を持った高耐久木材とは口が裂けても言えそうにないのです。

 2013年冬よりしばらくはこのような対応を考えています 

 

 お客様からの引き合いは相変わらず頂いています。

 お客様によりご要望が違うことも感じておりますが、杉桧のデッキ材に期待をして頂いていることも感じます。

 

 欠品サイズに関しては、次のような対応を致します。

 徳島県の森林組合様よりご注文の都度仕入れ、防腐加工後出荷を致します。

 市場に流通している材と違って、当方の指定するサイズに当初より製材を致しますので、三つ割りのようないい加減な作り方は致しません。

 

 問題は、かなり時間が掛かることです。

 売れ筋のサイズとは違いますので、ご注文を頂いた後製材を致します。

 また、トラック満車になるようなご注文はあり得ませんので、徳島県からの配送に時間も掛かります。

 

 ご注文から製材完了まで最短ですと3〜5日程度・防腐加工に3〜5日掛かりますので、出荷まで10日前後掛かります。
ただ、ココに乾燥という過程を加えないと、耐朽性に優れた木材ができません。
製材に1か月近く書けないと、防腐薬剤の本来持っている性能を発揮することは難しいのです。

 

 納期は掛かりますが、最低限の性能を維持するためにはこの方法しかありません。

 

 お急ぎの方には誠に申し訳ありませんが、対応する手段がありませんので、ご理解のほどお願い致します。

 

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