円高怖い!!  

2010年11月4日(1月13日加筆)

 超円高で誰も得をしない構造

 2009年の秋に97円前後だったドル相場は、現在80円を突破するかどうかといった超円高水準になっています。

 

 円高になれば、輸入商品は安くなる。

 誰でも知っていることですが、これには条件があります。

 

 管理人は、2010年8月にアメリカ旅行をしてきました。

 向こうでクレジットカードを使って買い物をしましたが、クレジットカードを切った日のレートが適用されますので、想定していたレートより良く、安く買い物ができました。

 

 こういう風に金額が決まっているものを外国で購入して、即決済という条件だと、「円高=物が安く買える」という理屈になります。

 

 ところが、資源の購入の場合はそううまく話が進まないのです。

 2009年の暮れの円高の場面では、為替差益が発生をしましたので、その時点でいろいろな物の価格は下落をしました。

 ところが、円高(ドル安)が長期化をするにつれ、大きく話が変わってきました。

 ドル安で、資源産出国の実入りが減少していること。 日本の買い需要が旺盛なことから、どの資源も現地価格は急騰。 円高でなんとか、円での購入金額が横ばいになっているのが現状です。

 

 一番分かりやすいのが、ガソリン価格だと思います。

 1年で20%も円高が進んでいますので、本来でしたら、20%ほど安くなって当然です。

 ところが、市中価格は下がったでしょうか?

 2009年の暮れに僅かに下がって、後は横ばいが良いところでは無いでしょうか?

 

 円高で、輸出産業は大打撃を被っています。

 本来なら、利益が出るはずの輸入産業も何のメリットも起きていません。

 誰も得をしない円高というこれまで経験したことがない事態が起こっているのです。

 

 上は11月に書いたものです。 1月になり少し潮目が変わっていますので追記をします。

 ガソリンはついに値上げしましたね。 3か月前に私が書いた通りで、円高のメリット以上に現地価格の上昇が大きく、コスト増を吸収できなくなったことが表面化されてきました。

 ガソリンは様々な商品に波及をしますので、春には値上げラッシュが起こっても何ら不思議なことは無いのです。

  

  

 円安に振れたら何が起こるのか???

 裏情報でいろいろ書いていますが、現在木材の価格を決定しているのは、アメリカ・ヨーロッパ・中国の3大消費国(地域)です。

 日本は、遥か後塵を拝していて、この数年供給面で安定しているのは、大消費国の不景気のおかげです。

 

 今後円安に振れるとすると、常識的に考えて日本の都合ではなく、アメリカの景気拡大による可能性が高いと考えてしかるべきと私は思います。

  

 そうなると現地価格は下がる要素は少なく、円安による為替差損が発生をしますので、資源の価格は急騰すると思います。

 もっと極論を言えば、日本人が買えない相場で中国やアメリカ、ヨーロッパが資源を買いあさって日本には物が入らない可能性も想定をしておかなければいけません。

 

 これは夢幻の話では無くて、2006年に現実として起こっていたことです。

 当時あまりの価格急騰に日本のバイヤーはついていけず、ウッドデッキ材が品薄になりました。

 単に物が入りにくくなっただけでなく、品質も格段に落ちたのは記憶に新しいところです。

 

 外材が未来永劫、安価に大量に入ると言うこと自体が夢幻だと私は真剣に思っています。 

   

 

 

 国産材に日の目は当たるのか???

 

 こんなことを書くと嘘と思われるかも知れませんが、既にこの数年国産の杉やヒノキを製材している会社はフル操業をしています。

 

 まずは合板会社が杉材を買いあさりました。

 原因は、ロシアの関税アップによる原木価格の急騰。

 それまで針葉樹合板はロシアのカラマツから作られていましたが、 現在では、合板には国産の杉が多くつかわれています。

 ロシア産カラマツは直径が1mを超えるような巨大な丸太。 一方国産の杉はせいぜい30〜40cmの細い丸太。

 皮を剥くための機械が全く違いますので、どの会社も設備投資をして杉材に変更をしていますので、簡単に樹種を変更することができない事情を抱えています。

 

 

 次に国の施策による公共施設の木造化。

 2階建て以下の公共の施設はできる限り木造にするようにとの通達があり、そのため国産材業界は活況になっています。

 四国の場合、林産県である徳島・高知・愛媛ではこちらに対応するため、各製材所がJASの認定工場の許可を取っています。

 既に2008年よりこのような動きが始まっていて、法律が施行をされた2010年秋以降は林業の無い県にもその動きが本格化をしてきました。

 

 2011年は全国にこういった状況が広がりますので、ウッドデッキのように量がでない商品に産地が目を向ける可能性は薄く、国産材のウッドデッキ材も今後良い動きは起こりそうにありません。

 

 この2点が2006年までと大きく違います。

 国産材に風が吹いている今、ウッドデッキ材として外国産材が入らなくなったから、国産材変更と言うことは簡単にできない状況なのです。

  

 

 先の話をしても今後どのような風が吹くかにより、大きく変わりますが、次潮目が変わった時に良い方向になる要素がほとんどないことはとても危惧される点です。

 

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